キャッシュ・ボム

シューティングゲームにおけるボムと、生活における現金には、多くの共通点がある。まずどちらも、使いどころによっては非常に大きな効果がある一方で、弾数には制限があるということ。逆に効果がない、あるいは薄いケースも多いこと、ゲームではそれはボスキャラであり、生活においてはいわゆるお金では買えないものがそれにあたる。そして多くの人がその使いどころを十分に理解しておらず、使うべきところで使う判断ができていないという点が、最も残念でもったいない共通点だ。

日常生活において、お金さえ払ってしまえば簡単に解決する問題は多い。タクシーや指定席といった安いものから、住宅のように非常に金額の大きいものまで。世の中の大半にはすでに値段がついていて、簡単な問題はキャッシュ・ボムによって片付けてしまうことで、キャッシュ・ボムの通用しない問題に全力を注ぐのが正しい戦い方と言える。

ただしゲームとは違い、現実のキャッシュ・ボムは人によって使える回数や威力が変わってくるため、自分がどの程度キャッシュ・ボムを使えるかは各自が把握しておかなくてはいけないし、自分でストックを増やさなくてはいけない。そしてもちろん、さまざまなトラブルがどれくらいの金額で解決できてしまうのかをシミュレーションして知っておかなくてはならない。5年間悩むような問題が、10万円払って解決できるかもしれないのだ。

お金の稼ぎ方はみんなが興味を持つが、お金の使い方も同様に重要であるにもかかわらず軽視されている。もっとお金の使い道に対して敏感になって、先手を取って使おう。

有給を取ったら台風が直撃した

確かに台風はしばらくすれば過ぎるものだから、今朝みたいな場合は自宅待機、できるなら自宅作業のほうが効率はいいだろう。多くの人にとっては。

でもそうは言ったってどうしてもこの日この時間そしてこの場所じゃないとっていうものはたくさんあって、そのためには当事者だけじゃなくてそれを支えるインフラは動いていなくちゃいけない。たまたま自分がそのインフラ運営に関わっていなかったというだけの話であって、必死に支えてくれている人たちがいて、その人たちには本当に感謝しかない。

例えば銀行だったら、窓口を平常どおり全部あけておく必要はない。でも裏のシステムは止めちゃいけない。そして、交通機関だったら、交通機関が麻痺していても前泊して出社するためのビジネスホテルだったら、むしろ休みシフトだった人まで駆り出したとしても、大変意義のあることだ。見方によってはそれをブラックと言う人もいるけれど。

実際問題、この台風の中でも定時出社を強要するような会社は、シェアで言ったら大したことないだろう。あれだけ電車を間引いて徐行運転すれば輸送力は半減じゃ済まないだろうし、絵的にちょっと刺激的だから、数自体は少ない割に印象に残りやすいだけであって。

台風のたびに、いちいち震災のときのように経済を止めてはいられない。だから、台風のときくらい家にいてもいい社会を目指す一方で、やっぱりもっと災害に強いインフラを作らなきゃいけないんだと思う。