有給取って自腹で深センに行ってきた

あっという間にひと月が経とうとしていますが、11月に中国の深センに行ってきました。深センは位置的には香港のお隣、ハードウェアのシリコンバレーと呼ばれている都市で、ざっくり言えば10年前にシリコンバレーでソフトウェアのベンチャー企業が百花繚乱してたのと同じことが、ハードウェアの分野で起こっていると思えばいいと思います。

シリコンバレーと違いそうだなと思ったことはまずその規模で、サンフランシスコが周囲含めた都市圏合わせても500万人程度しかいないのが、深センだとすでに1500万人、しかもまだまだ爆増中です。たった数年で地下鉄の路線が倍増していたりしますし、路線図の範囲がざっと立川あたりまで含めた東京全域分くらいあってしかも全部平野なのでガッツリ人口詰め込めそうです。

プログラマだけで完結できてしまうソフトウェアと違って、ハードウェアは工場や流通なんかも必要なので、携わる人口がめちゃめちゃ多く広い土地も必要です。同じ言語を話せる人間を1か所に1500万人集める、という物理的なハードルだけ考えても、第二の深センはなかなか作れなさそうな気がします。

さて、深センはもともと、日本や香港、台湾などの下請け工場として発達していきたそうですが、今ではその枠を大きく飛び越えて、ハードウェアスタートアップがたくさん出てきて、メイカーズムーブメントと呼ばれています。今まではハードウェアというと専門的な知識や技術がないと作れなかったものが、(ある程度)素人でも、パーツを組み合わせて作れるようになり、それがビッグビジネスにつながる可能性が出てきたという変化です。(それが深センで起こるまでの過程なんかは藤岡先生の本が詳しい)

ただ誰にでも作れるようになったというだけでは日曜大工や料理と大差ありませんし、専門家にしか作れないのであれば白物家電と変わりません。ニコ動とかコミケとか小説家になろうみたいなところで人気が出た人が一念発起して起業したら、世界的な大企業になっちゃった、みたいなルートが確立されたってことですね。(実際は超大変だけどそのあたりは高須先生の本が詳しい)

クオリティはさておき、自分でハードウェアプロダクトを作る人を、企業のメーカーと区別してメイカーと呼んでいるのだけれど、大なり小なり、人間みんなメイカーだと思うんですよね。僕だって小さいころはずっとLEGOで遊んでたし、プラモだって作ってた。最初は説明書通りに組み立てるけど、それができたら次は道を外れたくなるし、最終的には自分で完全にオリジナルの何かを作りたくなる。心の中に「俺の考えた最強の○○」みたいなものがある。

でも、大人になっていざ何か作ってみようって思うと一気にハードルが上がるんですよね。自分が思いついて役に立つものなんてたいてい買えちゃうし、役に立たないけど作ってみたいものなんてもっとない、それがたぶん普通。

ソフトウェアの世界にはHelloWorldという、何していいかわからなかったらまずこれをやってみましょうってのがあるんだけれど、メイカーのHelloWorldは何になるんだろう。それをやり終えたらまた次の記事を書きたいと思います。

今はまだ仕事にダイレクトにつながるわけじゃないので、観察という意味で自腹で行ってきましたが、いつか仕事につながって、今度は出張として再訪できたらいいなあ笑

WeChat使ってみてどうだったとかはGoogle先生の方がきっと詳しいです。もっと深センについて詳しく&正確に知りたい人は、

ニコ技深セン観察会

高須先生のメイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない

藤岡先生の「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶこれからの製造のトレンドとエコシステム

を読むと詳しく書いてあります笑