正義の反対は悪なんかじゃないんだ。正義の反対は『また別の正義』なんだよ
–野原ひろし
これはこれでありえる話だけど、もっと残酷な現実もありえる。
例えば、正義の反対が、政府だったり、逆に国民だったり、上司だったり、逆に部下だったりの無能だったりする。仮にみんなの描くビジョンが同じだったとしても、その無能ゆえに同士撃ちが始まる。この無能が過ぎると、うっかりすると「○○の陰謀なんじゃないか」みたいな話すら出てきたりする。
例えば、正義の反対が、無知な大衆だったりする。彼らはTwitterやFacebookでデマを拡散したり、デマに騙されてどうでもいいものを買い占めてみたり、パニックを起こしてみたり、怒り出したりする。それはSNSという特殊なメディアの特性だったり、そもそもデマの内容に対しての無知だったりする。
TVに出てくる学者は放射能を「科学的」に説明しようとするからダメなのだ。一般の人にとって放射能とは「呪い」「タタリ」「怨霊」の一種である
@TakagiSota
ワンピース空島のカルガラを例に出すと分かりやすいかもしれないが、無知が行きつくとこうなってしまう。占い師が国の行き先を決めていた時代から、子供のしつけ方一つ確立されない間に、科学はインターネットや原子力まで積み上げてきた。もはや科学は魔法の域に達しており、使えるんだから仕組みなんか知らなくていいし、あって当たり前のものになっている。
もちろんすべての仕組みを理解する必要はないと思うが、仕組みを理解する必要がある場合は、理解しないと損をするし、そんな人が多いと社会的に危険ですらある。なので、その気になれば理解できる、くらいの科学体力のようなものは持っておくべきだ。
震災から1年経ち、募金を集めた人、ボランティアをした人、本当に日本の誇りであり素晴らしいと思う。でもそれは片輪であり、放射能への正しい理解という片輪はいまだ成っていない。科学は魔法じゃないし、放射能はタタリじゃない。
事故は悲劇だけど、これを機に一人でも多くの日本人が科学に向き合うようになってほしい。今世界で一番、科学に近いところにいるんだよ日本人は。