「ミスト」という映画をご存知だろうか?スティーブンキング原作、フランクダラボン監督の、「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」に続く作品だ。この映画、僕に強烈な印象を残した。
深い霧に包まれた街で巻き起こる怪異と、徐々に秩序を失う人々を描くホラー映画。
–wikiより
大量の化け物が潜む深い霧に包まれたスーパーマーケットに、数十人が取り残される。人間たちは知恵を絞って抵抗するものの圧倒的不利。次々と死者が増えていき、絶望に包まれていく。ここまでならありがちなストーリーだが、ここからが印象的だった。
追い込まれた人々が徐々に、ある一人を教祖として妄信しだすのである。主人公は機知に富んだ人物で、なんとか状況を打開しようと試行錯誤するのだが、その教祖はまるで逆。祈りによって助かろうとする上に、主人公の行動を否定し、妨害しようとする。その教祖に、人々がついていくようになってしまうのだ。
人間は、何かを信じていないと自分を保てない。死だったり、理不尽だったり、不運だったり。そういうあらがいようのないものに対して人間は、宗教を信じることで抵抗してきた。死後の世界だとか、前世の行いだとかそういう、科学とは別のもの。
ただ、一般的に知られた宗教じゃなくて、自分の中だけにある自分教のようなこともあるかもしれない。僕が昔書いたイイネ!の価値はなんかも似たようなもので、歴史に名前を残せそうにはないし、子供がいるわけでもない僕の持っている、人生観のひとつだ。これは一種の自分教みたいなもので、とても規模の小さい宗教とも言える。イイネ教(笑)
宗教になじみがないという日本人は多いだろうけど、きっと代わりに自分の中に宗教を持ってる。人々が何についての救いを求めて、それぞれの宗教はそれに対してどういう解釈を提示しているのか。そういう視点で宗教を見ると、もっと深く理解できる。
ちなみに、映画のエンディングは実際に見てみてください。
劇場予告編で「衝撃のラスト15分」と宣伝されたエンディングは、原作とは異なるもので、完全に映画オリジナルである。キングは「執筆中にこの結末を思いついていればこのとおりにしたのに」と絶賛しているという。
というほど素晴らしいものです。