データから見る錦織vsジョコビッチ

394a528e64d6083768e7c5e7f979f7f1-e1391242239626おはようございます。眠いですね。しかし最高の試合を見れたので後悔はしていません。

さて、一応テニスしてたので、データの視点から、今回の準決勝と、錦織のプレースタイルについて解説していきたいと思います。注意点ですが、テニスというスポーツは、セットカウント3-0に終わったもう1つの準決勝でもトータルポイントでは91-74で、ポイント数に差が付きづらい、逆に言えば少しのポイント差が大きな影響を持ちます。

錦織のサーブは弱いのか?

まずは、錦織のサーブの弱さについてです。改善されてきてはいますが、錦織のサーブはまだまだ他の選手に比べると弱いと言えます。わかりやすいのがこのデータです。

指標 ジョコビッチ 錦織 USオープン平均 全仏オープン平均
1stサーブin 66/112 (59 %) 73/125 (58 %) 59% 63%
1stサーブwon 53/66 (80 %) 49/73 (67 %) 73% 69%
2ndサーブwon 17/46 (37 %) 26/52 (50 %) 51% 50%

スタイル崩れててちょっと見づらいですがご勘弁を。

まず目を引くのがジョコビッチの1stサーブが入ったときのポイント率80%です。確かに高いんですが、USオープン全体の平均で70%は軽く超えてますので、プロのサーブってのはそんなもんです。USオープンはハードコートなので球足が速く、特にサーバー有利なんです。ちなみにこれが球足の遅いクレーコートの全仏オープンになると、70%弱くらいまで下がります。

それに比べて、錦織の67%ってのはやはり貧弱で、明確に弱点と言えるでしょう。ただし、錦織は勝負どころとなる第4セットの4-3アップのサービスゲームで、3本のエースを奪いました。全体で5本しかないうちの3本をこのゲームに集中させるあたり曲者すぎます。ナンバーワンを相手に、手の内を隠していたわけです。錦織はこのゲームをキープし、次のゲームをブレイクして勝利を決めました。心理的にも効果は絶大でした

しかし逆に、ジョコビッチの2ndサービスのポイント率37%は相当に低い数字です。錦織の思い切りのいいリターンはジョコビッチを大いに苦しめていました。

ラリーになれば錦織有利、は本当か?

サーブが弱いので、よくラリーになったら錦織有利と言われますが、単純にそうとも言い切れないデータがあります。実は、10本以上のショットが続いたラリーでは、錦織は38%しかポイントできていないのです。ラリーに強いのは抜群のフットワークを誇るジョコビッチも同じで、試合中、バック対バックのラリーが続くと、錦織はチャンスを見出せませんでした。ジョコビッチは錦織がストレートに打ってくるのを狙っていますので、うかつに打つとフォアハンドのカウンターを食らいます。

錦織は見ていて面白い

では錦織のどこが強いのか。それは、4-9本のラリーとなったポイント、ここで錦織は59%ポイントしているのです。簡単に言えば、ドタバタしている中でのショットのクオリティが高く、駆け引きがべらぼうにうまい、ということ。相手が体勢を整える前に、鋭いアングルのショットを打ってオープンコートを作り、早いタイミングのショットで相手が戻る時間を奪いながら一気に攻める。これこそが錦織の真骨頂で、見ている側としては最もエキサイティング。完全に観客が錦織の味方をしていましたが、誰だって見ていて面白いのは錦織でしょう。

ナダルに勝った時も(勝ちかけただけでしたすいません)、今回の試合も、ディフェンスが得意な選手たちが錦織に制圧された時の表情がホントすごいんですよ。焦りがにじみでてパニックになってる。まるで未知の敵に出会ったかのような顔。テニス界の流れを錦織が変えていると言っても過言じゃないと思います。

今からあさっての決勝が楽しみで仕方ありません。がんばれ錦織!