データから見るマレー戦(リオ & 全米)

もしかして今ジョコビッチより強いんじゃ?なんて思ってしまうくらい好調のマレーに、錦織が勝ちました。もちろん、優勝するにはワウリンカとジョコビッチに勝たないといけませんが、可能性は十分ありますね!

さて、リオオリンピックでマレーになすすべなく敗れてしまってから1か月しか経っていません。何が違ったのかを見ていきましょう。

指標 マレー(年平均) マレー(リオ) マレー(全米) 全米オープン平均
1stサーブin 61 % 38/50 (76 %) 77/141 (55 %) 57%
1stサーブwon 76 % 31/38 (82 %) 53/77 (69 %) 71%
2ndサーブwon 54 % 7/12 (58 %) 25/64 (39 %) 50%

錦織の試合を見るときに一番大切なのは、相手のセカンドサーブをどれだけ攻めれたかです。リオでは58%ポイントされましたが、全米ではこれが39%になっています。リターンのウィナーも8本決めていますね。これが、23ゲームあったマレーのサービスゲームのうち、なんと9ゲームまでをブレイクするという結果につながりました。2014全米でジョコビッチに勝った時も、セカンドサーブを攻めて37%しかポイントさせなかったことが勝ちにつながっています。ワウリンカ戦でも、セカンドサーブをどれだけ攻めれるかが大きなポイントになります。

さらに素晴らしかったのが、7本のウィナーを奪ったドロップショットと、27のポイントを奪ったネットプレーです。マレーは1と14ですので、いかに錦織が積極的にゆさぶりをかけているかがわかると思います。

相手のセカンドサーブと、錦織のドロップショット、ネットプレー、このあたりに注目して、ワウリンカ戦、そしてジョコビッチ戦も期待しましょう!

ロンドンからリオ メダルの遷移まとめ

史上最高のメダル獲得数ということなので、ロンドンとリオでメダル獲得種目がどうなったのかまとめてみました。雑ですが。

2016-08-22_015616 2016-08-22_015634 2016-08-22_015643

メダル獲得数だけ見ると、オリンピックって世界陸上&世界水泳&柔道世界選手権&レスリング世界選手権の合算だけで70%くらい占めてる感じです。東京オリンピックに向けて、毎年行われている方の世界大会にも注目していきたいですね!当たり前ですが来年以降なので、忘れないようにしないと笑

そういえば、あれだけ準備がやばいと言われていたリオオリンピックだけど、なんだかんだ大きな混乱もなく終わったってことでいいんでしょうかね。サッカーナイジェリア代表の飛行機遅れ、プールが緑色、女子卓球の部屋のトイレが壊れた、くらいしかトラブルは聞いていないような。

(1年前の)転職エントリ

1年ほど前の話になりますが、株式会社ワンモアに転職しました。今回はなんで転職したのかという動機を書きたいと思います。

そもそも僕は、70歳でも80歳でも、体が動く限りは市場からみて価値のある人間でありたいと思っています。定年退職なんて論外ですし、それまでに市場から退場させられることを最も恐れます。そう考えたときに、エンジニアとして働き続けるのは現実的じゃありませんでした。これはエンジニアの35歳定年説がどうこうという話ではなく、ひとつの職種で50年間働くこと自体が時代にそぐわないだろうと。50年後には50年後に必要とされている職種があり、その職種は今はまだ存在していないと考えるのが妥当です。きっとエンジニアという職種は50年後にはありませんし、今ある他の職種も同様でしょう。唯一、50年後も残っていると思う職種があるのですがそれはまた別の記事で。

ではどうすればいいのか。一言でいえば、「適応」することです。ダーウィンが言うように、生き残るためには変化しなければならない。その時代に求められている職種に、自分を変えていかなければいけない。そういう視点から見たときに、自分には変化する経験が足りていないと思いました。僕は、短期間で大きく稼いでリタイアしたいという考えは持っていません。80歳でも現役でいること。そのためには、5年、長くても10年おきくらいで自分を別の職種に移していかなくてはいけません。これはいわゆる出世のような軸とは全く別の話になります。

もちろん、10年後を見据えて、どんな職種が市場から求められているのか、そして自分に適性があるのかということを考えることは重要ですが、それ以上に重要なのが、自分を次の職種に適応させていく力と経験でした。当時30歳のタイミングにおいて、次にどんな職種を選ぶのかより、職種を変えることそのものが重要だったのです。

なので、当時の僕の狙いとしては、「エンジニアではない、別の職種に移る」ということで、それを実現するためにCTOとしてワンモアに転職しました。とはいえCTOってエンジニアじゃんという話で、進捗としてはまだ半分です。個人的には早く僕がCTOをやらなくても開発が回る組織を作ってしまい、僕はサービスそのものの成長に力を注げるようになっていければと思っています。そこまでできてようやく、職種を変えることができたと言えるのでしょう。

CTOには、自分ががんばる、みんなでがんばる、文化を作るの3つのフェーズがあるなんて聞いたことがありますが、2つ目のフェーズの形はできてきています。僕の名刺からCTOの肩書が外れるときが、転職の目的が本当に達成されるときということになりますし、そのときには今よりももっとビジネスに貢献できるようになっているんじゃないかなと思います。

CTOとしてもまだまだ未熟なうちからCTOのあとのこと考えてるなんて鬼に指さして笑われそうですが、こんなことを考えながらやっております。これからもよろしくお願いします。

ジョブスのファッションから学ぶ、ライフスタイルのプログラミング

さて、プログラミングというとこんな画面を想像している方が多いかと思うのですが、これは実際にコードを書く部分の話でしかなく、本質はもっと別のところにあるんだよという話をしたいと思います。

programing

例として、毎朝着る服を選ぶシーンを考えます。僕は基本的に着る服のパターンが6つしかなく、それを順番に着ているだけです。

me

これをコードにするとこんな感じ。今日の日付を6で割った余りを計算します。

case day_number % 6
when 0 then
    kusachi.wear(白いシャツ,Gパン)
when 1 then
    kusachi.wear(青いシャツ,Gパン)
<<以下略>>

このようになります。「毎週月曜日に同じ服」などにならないように7ではないのがポイントでしょう。

次に、同じ月内で同じ服は着ない!というようなオシャレさんの服を考えてみましょう。

oshare

もうこれどうやってコード化すんねんって感じです。

最後に、一番極端な例として、ジョブスが着る服を選ぶところをコード化してみましょう

jobs.wear(タートルネック,Gパン)

これで終わりですね。ジョブスは毎日同じ服しか着ないので、1行で終わります笑

jobs

ここまで見てきてわかるように、大切なのは、日々の行動を標準化していくことです。ジョブスは極端にしても、ルールを決めて迷う時間をはぶくこと、6着をしっかり選び抜いてクオリティを上げることが、いわゆるプログラミングの本質だったりします。

ジョブスは何年にもわたって同じ服を着ているので、一見すると服には無頓着そうですが、あれはジョブス専用にこだわりぬいて作られたスペシャルオーダーメイドで、しかも100着単位で注文されているそうです。毎日着る服を変えている人に、このこだわりが出せるでしょうか?

一般的に使われているプログラミングは、プログラマという職業の印象を強く受け、システムを使って「自動化」する部分だけを指してしまっています。しかしもっと広くプログラミングをとらえると、当日の気分や天気、TPOに合わせて着る服を選ぶような複雑なフローを、シンプルな形に再構築し、そのクオリティを上げていく、その過程のことを指します。標準化、手順化、フォーマット化といった言葉の方が近いかもしれません。

自動化は、この標準化が終わったフローに最後の仕上げをするにすぎません。最初の黒画面に抵抗のある人も、ぜひ自分のライフスタイルをプログラミングしてみてはいかがでしょうか。

テレビじゃ解説してくれないテニスの基礎知識

台風で予定が台無しですね、仕方がないのでみなさん、テレビの前で錦織を応援しましょう!テニスをやったことがない方も多いと思いますので、今回は、基本すぎてなかなか解説されないようなことを説明していきたいと思います。

ミスを減らすことの重要性

テニスでは、アンフォーストエラーという言葉が良く出てきます。簡単に言えば、相手が良いショットを打ったわけではないにもかかわらず、犯してしまったミスショットのことです。逆に言えば、相手のショットが良かったせいでミスショットをしてしまっても、アンフォーストエラーにはなりません。

このアンフォーストエラーの数がなぜ重要かと言いますと、テニスでは、1本のエースと、1本のスーパーキャッチ、そして、1本のミスが、すべて1ポイントという同じ価値を持つから。そして、同じ価値なのですが、エースを増やすのに比べると、ミスを減らすのが簡単だからです。

サーブは別として、いくらプロであっても、相手が万全の状態で構えているところから、1本のショットでエースを奪うのはとても難しい。なので相手を走らせ体勢を崩し、オープンコートを作りそこにショットを打ちこむ、つまり、組み立てをする必要があります。特に相手がナダルやジョコビッチのようにディフェンスの得意な選手だと、素晴らしいショットを3本も4本も重ねて、ようやくポイントが取れるようなレベルになります。これは全盛期のフェデラーでも難しいことでした。つまり、組み立てている最中にこちらがミスをしてしまう、ということです。

エースを奪ったら1ポイント。でもミスをしてしまったら相手に1ポイント。そしてエースを奪うためには、良いショットを3本も4本も打たなくてはならない。無理にエースを狙いに行くよりも、ミスを減らそうとする方が、効率がよいのです。

このような理由から最近はディフェンスが主流になってきていたのですが、錦織はそこに風穴を空けるような強力なショットを武器に頭角を現してきていて、そのプレースタイルは非常に魅力的です。

ラリーはクロスが基本

では次に、こちらの動画をご覧ください。

お互いの選手が、十分センターに戻る余裕があるのに、ストレート側をあえて大きくあけながらクロスラリーを続けているのがわかると思います。お察しの通り、ストレートに打つ方が、クロスに打つよりもミスしやすいからです。

まず1つ目の理由はネットの高さです。実はテニスのネットはセンターが低くなっていて0.914m、サイドはそれより高い1.07mとなっています。なんと2割近く違う。ストレートに打とうとすると、サイドの高いネットの上を通さないといけませんから、クロスに打つ方が安全ということになります。

2つ目の理由は、ストレートに打つとカウンターを受けやすいからです。次の図をご覧ください。
cross
下の選手がクロスに打ったショットを、上の選手がストレートに打ちました。それに対して下の選手は、クロスにカウンターを打ちます。この時、上の選手はリスクを取ってサイドの高いネットを通しているのに、下の選手は低いネットを通しながら相手を走らせることができます。特に、図のようにバックのラリーからストレートに打つと、フォアのカウンターになるのでさらに分が悪いことになります。

ところが錦織は、バックでもガンガンストレートを狙います。もちろんミスやカウンターのリスクが高いショットなのですが、それを決めきってしまう技術を錦織は持っています。

錦織のすごさ

錦織はテニスのセオリーに真っ向から挑戦しています。なぜ錦織はセオリーに勝てるのか。そのポイントは2つあります。

まず1つ目はショットの角度。次の図をご覧ください。
angle
マルのついているところがバウンドの位置です。相手に攻め込まれたり、サイドアウトしてミスになってしまったりしないように、大抵は上の線のコース、深いところを狙います。しかし錦織が得意なのは下のコース。より浅いところにバウンドさせることで、相手をコートから追い出し、次のショットで逆サイドにエースを決めるのです。もちろん、甘くなれば相手に攻め込まれるリスキーなショットですが、錦織のショットは甘くならないのでとても効果的です。

そして2つ目がショットのタイミング。どんどん前に出て早いタイミングでショットを打つことで、相手が戻る時間を奪います。普通のショットはボールが落ちてくるタイミングで打つのに対して、バウンド直後の上がり際を打つことからがライジングショットなんて呼ばれたりします。クルム伊達なんかも得意とするショットです。これもとても難易度の高いショットですが錦織なら決めてくれるでしょう!

つまりまとめると、錦織はテニスのセオリーを勉強するにはとても不向きな選手です笑
フォームも決してきれいな方ではないと思いますし、マネはしない方がいいと思います笑

しかし、見ていて楽しい選手なのは間違いありません。なぜ錦織のショットは決まるのか、なぜ錦織が異端児なのか、このあたりに注目してみると、テニス観戦がもっと楽しめるのではないでしょうか。がんばれ錦織!